2014年4月9日水曜日

2人のVサイン


 袴田事件再審決定の翌日、石川さんと一緒に
袴田さんの姉、秀子さんに会いに行った。
後楽園ホールの玄関で待っていると
満面の笑みを浮かべた秀子さんが現れた。
2人は固く握手を交わし喜び合った。
石川さんはいつも「おめでとう」とは言わない。
なぜなら「当然の権利だから」と権力に怒る。

 「堪え難いほど正義に反する」
「捜査機関が証拠を捏造した疑いがある」

2014327日袴田事件の再審をめぐる判決も
本当ならば当然といっていい。
しかし権力のメンツや先輩たちのこれまでの決断を
覆せないという悪しき組織論理の中で、
村山裁判官がくだした決断は歴史に残る判決だと思う。

 48年間、想像することができないほどの苦しみ、
絶望をあじわってきた袴田さん。
ようやく釈放された時「解放されたんだ」と
ポツリつぶやいたと秀子さんがうれしそうに語っていた。

 331日検察は即時抗告し再び袴田さんを拘禁しようとしている。
これはいわば公の場でおこなわれている殺人予告のようなものだ。
恥を知って欲しい。
 一方心温まる話に救われる。
後楽園ホールには袴田さんを支援するボクシングの仲間たちが
「戻ってきた時にゆっくりボクシングを観て欲しい」と
“袴田シート”がもうけられている。
さらにWBCが名誉チャンピオベルトを贈った。

リングサイドで袴田さんがボクシングに熱狂する日が
1日も早く実現することをせつに願う。

 玄関で写真撮影。石川さんと秀子さんは
Vサイン”をして写真におさまった。

それにしても81歳、秀子さんの肌はつやつや!
75歳、石川さんも若々しい。

「無実を勝ち取るまで死ねない!」
そんな執念のようなものを身にまとい、
2人は輝いて見えた。


次こそ石川さんだ。