映画は映画館で観るものである。
あたり前だがこれがなかなか難しい。
一般公開から半年、自主上映を中心におよそ200カ所で
上映を重ねた。製作段階でカンパをつのったこともあり、
まずはその方たちに観てもらおうと自主上映を先行したのだ。
200カ所というのはドキュメンタリー映画としては
異例の数だといえる。
そんな中から最初に劇場でやりたいと声を上げてくれたのが
山梨県のテアトル石和。
通常は自主上映をやった映画はいやがられる。
しかしテアトル石和の専務は決死の思いで最初の劇場公開を決めてくれた。
石和温泉駅から車で6分、畑やポツンとある住宅の田舎道に
たたずむ映画館は哀愁が漂っている。
人懐っこい猫が迎えてくれる。
5月25日の日曜日に舞台挨拶に映画館を訪ねた。
専務が申し訳なさそうにお茶を出してくれた。
「もう少し集まると思ったんですけど…」
観客は2人。
「ちくしょう!」と一瞬思ったが
確実に2人に映画が届いたことをかみしめた。
20分間あいさつをさせていただき、
専務と映画を応援してくれているT夫妻と記念写真。
「できることをやりましょう」と語り合い映画館を後にした。
今日から東京ポレポレ東中野で劇場公開がはじまる。
テアトル石和でも1日2回の上映がつづく。
なにはともあれ
自分の映画が映画館で上映される。
金聖雄